「感性」より[感受性]を −− 科学教育の基本 ——
細矢 治夫    (お茶の水女子大学 名誉教授)

 教育の場では、一人一人の子供ごとに「理性」「感性」「野性」のバランスを変えて育てることが必要だということは既に常識である。しかし、特に科学教育の場合には、「感受性」が重要な要素であることを指摘したい。
 英語で感性と感受性がどう区別されるか、私には確信がないが,自分なりには、感性をsensitivityあるいはsusceptibility、感受性を sensibilityと受け止めている。
 人は、自分の目の前のことを、直感的に好きなことか、嫌いや苦手なことに分類するであろう。それが感性である。そこで、何か新しい事象に直面し たり、新しい説明や理論を聞いたときに、「あ,それは面白い」と言ってそこにのめり込める人は「感受性」が強いのである。つまり、素直な好奇心をもつこ と、それが感受性である、と私は思う。単純に「理系」「文系」という言葉は使いたくないが、こういう感受性の有無が両者を分けていると思うので、自分の経 験をもとに、理科教育・科学教育の問題をこの点に絞って議論したい。


   Sensibility Rather Than Sensitivity
--- Fundamental Factor for Science Education ---

It has been known that for educating young people the balance among the three features, “wisdom”, “sensitivity”, “wilderness”, is very important but should be different from student to student. According to my theory, especially for science education “sensibility” is another more important factor. “Sensibility” in this sense is a positive attitude to get interested in a new fact, experience or theory irrespective of his or her prior knowledge about it.

Importance of “sensibility” to science education will be discussed based on various facts obtained from personal experience.