疇に入る問題も多く扱われている。こうした内容は、物理学の学生には馴染みが薄い分野であり、こうした題材が突っ込んで議論されていると、初学者は、違和感を覚えやすい。

 こうしたわかりにくさをできるだけ回避するために、最初に必要な数学的な準備をしておく。

 

2.1.3 熱力学のための数学

 

微分形式の性質

 2変数の微分形式

 

            

 

において、

 

              

 

が成り立つ時、この形式は完全微分Exact differential形式であるという。この等式は、オイラーEulerの積分可能条件と呼ばれる。この場合、ある関数が存在して、

 

        

 

となる。ここで、

 

          

 

であれば、この微分方程式は全微分方程式Total differential equationと呼ばれ、積分可能である。この場合、平面における任意の閉曲線に沿った積分はゼロになる。

 

              

 

一般に、2変数に関するある微分形式が与えられた場合、各々の係数である関数に関する編微係数が等しいことと、のような(与えられた微分形式が、その完全微分となるような)関数が存在することと、この関数の経路に沿った積分がゼロになることとは、同値