である。エントロピーは、示量性変数である。

 

問題

1. 次の微分形式は積分可能か? 

2. 全微分と偏微係数の関係を利用して、などの状態量を熱力学のポテンシャルの偏微分として表せ。この時、偏微分の時に固定される変数を露に書け。例えば、

            

 

3.熱力学ポテンシャルの微分形式が全微分であることから、導かれる偏微係数の間に成り立つ関係を列挙せよ。例えば、

           

             .

 

  これらの関係式はマックスウエルMaxwellの関係式と言われる。

4. 内部エネルギーUに関する全微分と、自由エネルギーに関する偏微係数の間に成り立つ関係から、熱力学の状態方程式、

 

                

                  

を導け。

  (ヒント) 、および。 

 

 

2.1.5 カルノーCarnotのエンジンとサイクル

 どの教科書にもあるので、ここでは簡単に要点を述べるにとどめる。カルノーの理論を説明したり、熱力学のentropyを定義したりするためには、可逆過程reversible processtransformation)という概念が必要になる。可逆過程は、ある過程を時間を逆にしてたどることができるような場合を意味する。ある過程が可逆過程であるためには、変化が各瞬間では熱的な平衡状態を保っていることである必要がある。こうした過程は現実のものでなく、無限にゆっくりした理想的な変化である。これを準静的Quasistaticという。Carnot cycleを理解する必要がある。さらに、可逆過程では、履歴Hysterisis現象があってはならない。例えば摩擦があってはならない。これも理想化された条件である。