ただし、物理学的な要請として、その時の線積分は物理的には可逆過程となるものに限定する。ここまでは、エントロピーという関数が確かに存在するという主張である。
次に、状態Aから状態Bへの変化に伴うentropy変化量は、一般に
となる。ここで等号は可逆過程に限る、という命題を天下り式に与える。これを第2法則の後半の部分とする。
孤立系を考えてみると、右辺の積分の中の熱の出入りの項は、孤立系が熱の出入りはないことから、すべてゼロであるから、右辺はゼロになる。したがって、
すなわち、「孤立系の変化において、エントロピーは常に増大する、変化のないのは、可逆過程だけである」、ことが導ける。
同じことであるが、このことは「孤立系における変化は、entropyの増大の方向に向いている。それ以上変化のない状態は、熱平衡状態だけである」、「孤立系のエントロピーは熱平衡状態にある時、最大である」などと表現される。
また、「孤立系がentropyが最大の状態にあるとすれば、他のいかなる状態へも遷移しない。なぜなら、そうした変化はentropyの増大をもたらすからである。したがって孤立系に関しては、entropyが最大の状態が最も安定な状態となる」、などとも表現できる。
また、始めの状態と終状態が同じの場合、ある状態Aから同じ状態Aに戻るサイクルに関して、
が成り立つ。ここで等号が成り立つのは可逆的なサイクルに限る。これはクラウジウスの不等式に他ならない。