熱力学の第2法則を以上のように表現すると、最初に述べた、クラウジウスやケルヴィンの命題、

 

「その過程の最後の結果が、ある温度にある物体から熱を取り出し、それより高い温度にある物体に受け渡すだけであるような過程は不可能である(Clausius)」、

 

「最終結果が、同じ温度に保たれている熱源から仕事をさせられる熱(work heat)を取り出して、それをすべて仕事に変換するだけで、それ以外の変化は起こさないような過程は不可能である(Lord Kelvin)」、

 

は、エントロピーを基礎とした第2法則の表現(命題)から導かれる。この議論には、カルノー・エンジンとカルノー・サイクルが登場する。これらの命題は、効率的な熱機関をつくるための原理を与えるものである。熱力学の第2法則は、そこにある大きな制限があることを示している。それは、あらゆる熱機関の効率は可逆的に運転されているカルノー・エンジンのそれを越えないという命題、

 

               

 

である。

 

例題。0Cと、100Cにある2つの熱源を利用した熱機関の最大効率を求めよ。温度を絶対温度に変化すると、となる。

 

温度について

我々のいささか公理的(天下り的)な第2法則からすれば、温度は、熱についての微分形式を全微分にするための積分因子の逆数ということになる。また、理想の熱機関では、

 

                

 

が成り立つから、熱量の出入りを計測できれば、温度の比例関係をつかむことができる。絶対温度のゼロ点に関しては、エントロピーを定義する積分式がヒントを与えてくれる。この(線)積分は、基準となる状態0から任意の状態Aまでになるが、出発点となる基準状態のとり方は任意である。また、不定積分にも任意性がある。そこで、温度がゼロの状態は、エントロピーをゼロと定めることができる。この温度が絶対温度である。絶対温度の