とすれば、

となる。また、情報エントロピーが最大になる等確率事象の場合、も両者は等しい表現となる。しかし、一般の場合に、この両者が等しくなることは、Wを具体的に求めてみなければ正しいかどうか判断できない。このことは、後の状態和/分配関数を求めところで、実際に確かめてみることにしよう。

 

2.4 ボルツマンの原理からボルツマンの分布へ

ボルツマンの原理、

は、熱力学という巨視的な世界の状態量を微視的な世界のできごとの確率に対応する「状態の数」とを結びつける。ここでWを知るためには、巨視的、熱力学的なある一つの状態に対応する複数の微視的、力学的な状態の数を知る必要がある。例えば、互いに運動によって影響を及ぼしあっているN個の同一粒子からなる系が、全体として熱的なある状態とは、それらの粒子全体のエネルギーがある値をとっている場合となる。この場合、個々の粒子がどのような状態にあるかを考えると、同一の全体エネルギーを与えるような個々の粒子の状態の数は複数あると考えられる。この数がBolzmannの考えた状態の数Wである。実際にWを求めるためには、こうした微視的な状態の数の数え方を知らなければならない。

それでは、この状態の数は実際にどのように求められるのか、そして微視的な世界の確率(分布)はどのような構造をしているのか、ということが問題になる。この問題は、まさに統計力学の課題に他ならない。以下では、この問題に取り組んでみる。まず、よく出てくる記号や数を復習しておく。

 

状態数Number of StatesW

分布Distribution,

分布関数Distribution Function,

状態和/分配関数Zustanssumme/Partion Function, Z

  相空間Phase Space

 

Boltzmann constant, k = R/A

Avogadoro’s number; A, または6.03 x 1023 

気体定数Gas constant; R, 8.314 x 107 erg/degrees = 1.986 cal/degrees