と置くことによりさらに分離できる。まず、
次に、
と置けば、
が得られる。この方程式の解は、ジャンドル多項式Legendre Polynomialsで与えられる。
3.6.6 スピン系
量子力学の形成期に理論と実験との検証するモデルなったのが、水素原子のエネルギー準位だった。上記の球面ポテンシャル中の粒子系は、実験値とよく一致した。すなわち、それらは、主量子数principle quantum number(または動径量子数radial quantum number)、n, 副量子数(あるいは方位量子数軌道角運動量量子数azimuthal or orbital quantum number)、l、磁気量子数magnetic quantum number、m、の組み合わせで与えられる。最後のmは、ゼーマン効果と呼ばれる、一様な磁場の中に置かれた原子のスペクトル線(エネルギー準位)の分離をもたらす。しかし、この分離は、実際には、さらに微細な分離が隠されていることがわかり(異常ゼーマン効果)、この実験事実を説明するために、電子が軌道運動量とは別の内部的な回転自由度をもっていると結論づけられた。これがスピン角運動量の発見である。後に、量子力学の対象となる電子、陽子、中性子、その他の素粒子は、磁性を帯びた微小なコマのような回転に伴う「スピンSpin」という自由度と磁気モーメントを有している。ただし、同じ回転に伴う自由度でも軌道角運動量は、古典力学の角運動量に対応しているが、スピン角運動量は純粋に量子力学で扱われる自由度であり、「コマのような」は全くの比喩であり、実際の運動の古典的な対応イメージではない。
古典論との対応がうまくいかない理由はもうひとつある。古典電子論では、軌道角運動量を有する荷電粒子は、その大きさに対応した磁気モーメントをもつ。粒子の電荷をeとすると、