数の演算子の固有値が粒子の個数だとすれば、当然粒子が何もない状態がなければならない。これはゼロ粒子状態であり、「真空」vacuum state状態と呼ばれる。これらの演算子と、数の演算子
の固有値
、固有状態
との関係は以下に要約される。
これらの式は演算子の相互の役割を示している。がなぜ生成演算子と呼ばれるかと言えば、数の演算子の固有値がnの固有状態ベクトルに作用して、n+1の状態ベクトルに変換するからである。反対に、
は同じ固有状態ベクトルに作用して、n-1の状態ベクトルに変換するからである。この意味では、消滅演算子より英語のdestructionを直訳した「破壊演算子」の方が作用素としての性格を表している。
上記の式はすべてと
の間にある種の交換関係を仮定したことから導かれる。実際にFeynmanの教科書では、このことを次のように述べている。
問題:ある演算子とそのエルミート共役な演算子
とが、交換関係
を満たす時、両者の積、
の固有値を求め、固有ベクトルとの関係を示せ。
もちろん、この問題は、量子力学の数学的な枠組みの中で定義された問題であるが、この簡単な問題から、上で述べたことがらは導かれる。
生成消滅演算子をどう定義するか?
それでは、こうした生成消滅演算子を実際にどうつくるのか。1次元の調和振動子を例として、これを示してみよう。
ただし、
ここで3章とは座標の記号を変えてあるが、同じ問題である。また、座標と運動量の交換