子計算の発想である。量子計算はまだアイデアの段階であり、研究者は、そのイメージを描こうとしている状況にある。ただいくつかの基盤となる概念がある。それは、2つの準位をもった量子系の複合系を考え、この系の状態にさまざまなユニタリ変換を施すことを計算と見なすという考えである。

 

 

量子ビットQubit

この考えに沿って、基本となる2状態の量子力学系を量子ビットQuantum bitと呼ぶ。いま、2つの準位に対応する基底となる量子状態をそれぞれとすると、これらの2つの状態の線形重ね合わせの状態

 

         

 

もまた量子状態となる。この状態は2次元ヒルベルト空間の1点に対応する。現在の情報理論では、0と1が等確率で生起する確率事象が基本になる。この基本となる確率事象の(2を対数の底にした)エントロピーは、1ビットであるが、量子ビットはこの古典的な計算や情報の基本単位に相当する量子計算、量子情報の単位である。

現在の情報理論では、実際の情報を複数の1と0の列で表現する。列の長さがnであれば、nビットである。同様に、量子情報では、2状態系n個からなる複合系の状態を考えこれをn-qubitと呼ぶ。これは、2次元空間のn個のテンソル積空間、すなわち次元のヒルベルト空間の球面上の点となる。

量子ビットの表現についてもう少し説明する。上記のは計算の基底と呼ばれる。ただ、量子計算では、通常の物理学と違い、パウリ行列に対応した作用に対し、と約束する。これは固有値が+1である方を励起状態にとっているからである。もちろん、も、規格化されている。それゆえ、係数は条件

          

を満たしていなければならない。一般的な表現としては、

 

        

 

あるいは、物理的に意味のない位相因子を省略して、