作用して量子力学的な一体性が生じた時、それらが後に空間的に離れていてもその一体性が保たれるという現象をEPR現象(EPR Pair)と呼ぶこともあるが、これは量子の世界特有の現象である。
量子テレポテーションはこの現象を利用するのであるが、送信者は、受け手が系の出現を行う手掛かりとなる観測結果を通常の方法、例えばインターネットで送らねばならない。したがって「瞬時に」、量子テレポテーションは、光速より早く何らかの情報を送付できるわけではない。
量子情報伝送
これまでは、量子計算に焦点を当ててきたが、量子情報研究としては、現在の情報通信理論に対応した、情報伝送理論を量子情報に関してつくろうという動きもある。ここで問題となるのは、通信路の容量、信頼性、効率などであり、問題意識としては、現在の(古典的な)情報通信理論と共通するところが多い。
7.5 量子論理
線形代数をモデルにした量子力学においては、閉じた線形の部分空間(閉線形部分空間)とそれへの射影演算子は1対1の関係にある。また観測量は射影演算子に対応させられる。つまりあるベクトルが対応する物理学的な系の状態において、ある観測を施すことはこの観測に対応した射影演算子を状態ベクトルに作用させ、状態を(閉線形)部分空間へと射影することを意味する。
系の状態 → 状態ベクトル
観測量 → 射影演算子
観測行為 → 状態ベクトルの固有部分空間への射影
したがって、観測後の系の状態は、射影演算子の固有ベクトルである、ある状態にある。
部分空間の間にandやorなどの操作を定義できる。また部分空間の間には一方が他方を含んでいるというような意味で順序を導入できる。したがって部分空間の集合はある束になる。一方空間の連続した領域からなる集合の部分集合間にも、同じような関係が定義でき、それによって部分集合の全体は、束をなすとみなせる。この束はブール代数と同型になる。ブール代数は日常でてくる集合と同じで、古典論理と同じと見なせるから、部分集合の集合がつくる束は、古典論理に対応している。これに対して、部分空間あるいは射影演算子がつくる束は、ブール代数と同じのブール束にはならない。それは分配律が成り立たないことがあるからである。